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東京地方裁判所 昭和53年(特わ)1991号 判決

被告人

(一)本店所在地

東京都渋谷区神宮前六丁目三四番二五号

商号

コロナール戸部有限会社

(右代表者 代表取締役 戸部栄子)

(二)本籍

群馬県館林市城町三八番地

住居

東京都渋谷区神宮前六丁目三四番二五号

職業

会社役員

戸部栄子

大正一五年九月三〇日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官乙部二郎出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社コロナール戸部有限会社を罰金六〇〇万円に、

被告人戸部栄子を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人戸部栄子に対し、この裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社コロナール戸部有限会社は、東京都渋谷区神宮前六丁目三四番二五号に本店を置き、衣類の販売等を目的とする資本金五〇万円の有限会社、被告人戸部栄子は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人戸部は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四九年一〇月一日から同五〇年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一九、一八〇、八六一円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同年一一月二九日同都渋谷区宇田川町一番三号所在の所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一、四三三、三八三円でこれに対する法人税額が三九八、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六、八二九、五〇〇円(税額の算定は別紙(三)税額計算書参照)と右申告税額との差額六、四三〇、八〇〇円を免れ

第二  昭和五〇年一〇月一日から同五一年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五七、四五七、〇七七円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同年一一月三〇日前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一一、八七九、〇二二円の欠損で、これに対する法人税額は零である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二二、一三九、六〇〇円(税額の算定は別紙(三)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)(甲番号は検察官請求番号を示す)

判示冒頭の事実及び全般にわたり

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書(三通)

一、東京法務局登記官作成の被告会社登記簿謄本(甲1)

判示事実添付の別紙(一)、(二)各修正損益計算書に掲げる科目別当期増減金額欄記載の数額について

<総売上高につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(外部販売売上金額除外額について)(甲2)

一、同じく調査書(締後売上)(甲3)

一、同じく調査書(昭和四九年一二月二二日の店売売上金額の確定について)(甲4)

一、同じく調査書(展示会売上の除外額について)(甲5)

一、同じく調査書(昭和五〇年一二月二日および一二月三日の展示会売上について)(甲6)

一、同じく調査書(昭和五一年二月一〇日および一一日の店売について)(甲7)

一、同じく調査書(社内販売の除外額について)(甲8)

一、同じく調査書(昭和五一年五月一〇日および五月一一日の店売除外金額について)(甲9)

<期末商品棚卸高(昭和五〇年九月期のみ)、期首商品棚卸高(昭和五一年九月期のみ)につき>

一、収税官吏小池哲男作成の調査書(つるや産業株式会社よりの仕入について)(甲10)

一、押収してある被告会社昭和五〇年九月期修正申告書(昭和五三年押第一六三四号符二)

<商品総仕入高につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(簿外経費調査書)(甲11)

一、押収してある被告会社昭和五〇年九月期修正申告書(前同押号符二)

<外注加工費・研究費(いずれも昭和五〇年九月期のみ)につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(架空経費調査書)(甲12)

<旅費交通費につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(架空経費調査書)(甲12)

一、同じく調査書(簿外経費調査書)(甲11)

<雑給与(昭和五一年九月期のみ)・福利厚生費・交際接待費・広告宣伝費(昭和五一年九月期のみ)につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(簿外経費調査書)(甲11)

<租税公課につき>

一、検察事務官小平辰夫作成の昭和五三年八月二一日付捜査報告書(甲13)

<支払手数料につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(外部販売売上金額除外額について)(甲2)

<減価償却費(昭和五〇年九月期のみ)につき>

一、押収してある被告会社昭和五〇年九月期修正申告書(前同押号符二)

<寄付金(昭和五一年九月期のみ)・寄付金の損金不算入額(昭和五一年九月期のみ)につき>

一、検察事務官小平辰夫作成の捜査報告書(寄付金の損金算入額に関する報告)(甲14)

<雑費(昭和五一年九月期のみ)につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(簿外経費調査書)(甲11)

<受取利息・雑損失につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(預金利息について)(甲15)

<雑収入につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(外部販売売上金額除外額について)(甲2)

<支払利息につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(銀行借入金と公表借入金等について)(甲16)

<価格変動準備金繰入額(昭和五〇年九月期のみ)・価格変動準備金戻入額(昭和五一年九月期のみ)につき>

一、大蔵事務官望月米利作成の証明書(甲17)

一、押収してある被告会社昭和五〇年九月期法人税確定申告書(昭和五三年押第一六三四号符一)

<棚卸計上漏れ否認認容(昭和五一年九月期のみ)につき>

一、収税官吏小池哲男作成の調査書(つるや産業株式会社よりの仕入について)(甲10)

<交際費の損金不算入額(昭和五一年九月期のみ)につき>

一、収税官吏小林仁志作成の調査書(交際費の損金不算入額の計算について)(甲18)

別紙(一)、(二)各修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告、欠損申告の各事実について

一、法人税確定申告書昭和五〇年九月期分一袋(昭和五三年押第一六三四号符一)

一、同じく昭和五一年九月期分一袋(前同押号符三)

(法令の適用)

被告会社につき

いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)。二五条一項。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松沢智)

別紙(一) 修正損益計算書

1~1

コロナール戸部有限会社

自 昭和49年10月1日

至 昭和50年9月30日

〈省略〉

1~2

〈省略〉

1~3

〈省略〉

別紙(二) 修正損益計算書

2~1

コロナール戸部有限会社

自 昭和50年10月1日

至 昭和51年9月30日

〈省略〉

2~2

〈省略〉

2~3

〈省略〉

2~4

〈省略〉

別紙(三) 税額計算書

コロナール戸部有限会社

自 昭和49年10月1日

至 昭和50年9月30日

〈省略〉

自 昭和50年10月1日

至 昭和51年9月30日

〈省略〉

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